オープンソースにはパクリっぽいものが多いと思います。しかし・・・

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Watcher/20061128/255000/
基本的に趣旨には同意です。とても面白いエントリだと思いました。その上で、見過ごせない点があったので、淡々と指摘させてください。

上で述べた例をもう一度ご覧下さい。必ずと言っていいほどプロプライエタリなソフトウェアが先行し、それをオープンソースが追いかけるという構図になっているのがお分かりいただけるかと思います。少なくとも、今まではそうでした。

なぜそうだったのでしょう?

オリジナリティは、「タダで配る」には高すぎるから、というのがその理由になります。

この文章で取り上げられている例でいうと、まず、Apacheは明らかにIISの後追いではないです。あと、業界標準の、Sendmail(メールサーバ)やBIND(DNSサーバ)もプロプライエタリの後追いと言うのは苦しい(Sendmailの場合、Sendmail Xで、オープンソースとはいえIBM系列のPostfixっぽくなるというので、話は単純ではなくなりますが)。
あと、開発者向けですが、Java開発の世界には、Jakartaプロジェクトがあります。Jakarta出身のStrutsなんかは商用のソフトウェアに組み込まれることもよくありますね。Jakartaプロジェクト以外でも、SpringやHibernateは、商用向けのJava標準(J2EE)を一変させてしまう程のイノベーションを巻き起こしました。他にも、ユニットテストツールのJUnit、ビルドツールのAntなど、オープンソースイノベーションを先導する例には事欠きません。
そして、何より最も強烈な反例はMozilla Firefoxでしょう。進歩が停滞していたInternet Explorerを後目に進化を続け(RSSリーダCSS対応、フィッシング対策など各種セキュリティ対策)、技術的にはFirefoxIEが追う、という構図となってしまいました(タブブラウザは実際のところ他ブラウザのパクリなので数えていません)。また、「オリジナリティをタダで配りながらも、お金を稼ぐ」という事に成功している、という点でもFirefoxは反例となります。以下のURLをご覧ください。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20060929/249361/
Mozillaの収入はFirefoxの検索窓から年間数十億円」だそうです。検索エンジンと直接つながるWebブラウザならではの特性ですが、自分で稼ぐことに成功している、と看做すことができます。そう考えると、Firefoxって「オープンソースでありながら稼げる」新世代のソフトウェア、と見ることができますね。
まとめると、一般論としては、PostgreSQLOpenOfficeのように、商用ソフトウェアの後を追うソフトウェアは多く存在する、と見てそんなに間違いないと思います。しかし、オープンソースイノベーションを先導する例も多くあり、その最も典型的なものがFirefoxである、といえます。

(追記) カテゴリーが「LInux」になっていたので修正しました。情けなや・・・。