ipadで出来て、ノートパソコンでは出来ない決定的な事柄、なんて無い。

http://q.hatena.ne.jp/1275175411
ipadで出来て、ノートパソコンでは出来ない決定的な事柄とは何でしょうか?(もちろん、軽量・コンパクトであることは除きます。) という質問が、はてな人力検索にありました。
回答から書くと、そんなものは無いです。
iPadの凄さは、汎用性の名の下に今までのパソコンが捨てられなかった、いろんな機能やしがらみをばっさり切り捨てながらも、十分機能的で、パーソナルユースに必要十分な「パーソナルコンピュータ」を提示した事なのですから。
気の遠くなるほど昔にタブレットPCなんてものを世に出していたMicrosoftにはこういうPCを出すチャンスはいくらでもありました。少なくとも、技術的に出来ない、なんてことは間違いなくなかったはず(特別なハードを作れる企業なんていくらでもある訳ですし)。けれど、結局現行のドル箱ビジネス、Windowsを今の形から変える事が出来なかったんですよね。またその後、Netbookが出たときはも、今から考えるとWindows変革の大チャンスでした。しかし、WindowsXPWindows7に機能制限をかけただけでお茶を濁してしまった。
結局、メニューがあって、フォルダがあって、右クリックと左クリックがあって、ショートカットがあって・・・というWindows文化は手つかずのまま残されて来た訳ですが、そこを「そんなに面倒な事しなくても、Webとメールとコンテンツ再生さえ出来ればいいんじゃないの?」とiPadに突っつかれてしまった訳です。
Windowsパソコンの強みは常に「いざとなったらアプリケーションを入れて、必要に応じてハードをつなげばやりたい事が出来る」でした。将来何が必要になるかなんて分からないけれど、Windowsを入れておけば、その時必要なアプリを入れればとりあえず何とかなるはず。それはとても覆しがたい強みでした。
でも、WindowsXPが出て10年が経とうとしている今、WEBとメールといくつかのアプリがあれば、あとは別に拡張性なんて無くてもさほど困らない、という事が分かって来てしまいました。iPhoneの登場も、Netbookの登場もその証左として挙げられると思います。
とはいえ、iPhoneのコンセプトとNetbookのコンセプトを融合する、という普通の人では到底思いつかないようなアプローチをアップルは実施した。この事こそがiPadを革命的なデバイスにした、一番のポイントだったのではないかと思います。もし普通の人がMacNetbook的なものとして商品化するならば、PC版MacのOS、MacOS X(Snow Leopard)をダウンサイジングするはず。iPhone OSを進化させる、というアプローチは思いつかないはずです。今やアップルのライバルとなってしまったGoogleNetbook向けに用意したOSが、iPhone OSに近い位置づけのAndroidではなく、既存のデスクトップLinuxを軽量化したようなChromeだった事からも、そのアプローチの異端振りが分かろうかというものです。
iPhone OSを改めて進化させる、というアプローチを取る事により、iPadは、MacOSが持っていたPC的なあらゆるしがらみを捨てながら、洗練された商品パッケージとなる事に成功しました。それにより、ユーザに「Windowsから乗り換えても良いかも」と思わせる事に成功し、クライアントOS界の帝王、Windowsに対する本当のチャレンジャーとなったのです。それこそがiPadが特別な存在である理由なのです。