フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略(ISBN:4140814047)

今更ながら読了。インターネットの普及、あらゆるもののデジタル化により、何にお金を払うか、というポイントが変わってしまったのだ、という事を教えてくれる本でした。
デジタルの世界では、基本的にコピーが無料で行う事が可能です。だから、あらゆるデジタルデータ/コンテンツをインターネット上で大量生産するコストは(一般論として)、リアルな世界の製品の生産と比べると劇的に安くなります。0円に近いといってもいい。つまり、配るものは潤沢にある事になります。作れば作る程コストがかかる世界のビジネスと、いくら作ってもコストがかからない世界のビジネスでは、当然勝ち方が違ってくる事になります。
フリーミアム、という考え方の面白い所は、必ずしも全員が課金ユーザでなくても良い、というところです。ユーザ全員に無料でコンテンツやプラットフォームなどを提供し、その大半がお金を払ってくれないとしても、一部の人がお金を払ってくれれば商売は成り立つのです。昔なら、ファミコンカセットをみんなに無料で配って、一部の人からお金をもらえばいい、なんて言ってみても、カセットの製造代金で間違いなく赤字になったはずですが、今はネットでソフトをコピーして配る分にはお金がかかりません(厳密にはサーバ代金やネットワーク使用料はかかるでしょうが、カセットを製造するほどのレベルにはないと思われます)。ネットの普及による、製造/配布コストの変化が、ビジネスを変えつつある事は間違いないと思います。
フリーに関する話題をなるべく網羅的に扱おうとたせいか、話題が多岐に渡り、ちょっと読みにくい本ではありますが、この10年の「フリー」の流れを考える上で、必要な視点は抑えられているので、自分の意見をまとめるのに役立つ事は間違いないと思います。