第九の日 (光文社文庫)(ISBN:4334745121)

瀬名秀明のケンイチシリーズの短編集。「デカルトの密室」の前後のエピソードが収録されています。ミステリー仕立ての「メンツェルのチェスプレーヤー」以外は、「デカルトの密室」で見せた方向性、人間とロボットの共生とか、ロボットの知性に関する考察などが語られ、そのまんま「デカルトの密室」の後日談、という気がしました。最後に収められた短編「決闘」は、次の長編へのつなぎを意識しているようなので、次の長編ではまた突き詰める方向性を変えてくるのかもしれません。
このシリーズに出てくるロボットはどこか純粋で、賢く、清潔な存在、という印象がぬぐえないので、次回作辺りで、もっと人間の身もふたもない欲望が反映されて作られたロボットをたくさん見たいな〜、と思いました。個人的には、Webの世界に広がる「何でもアリ」な感じをたたえたロボットをそろそろ見てみたいです。