ミラクル・リナックスのCTOの人の件について

http://www.nurs.or.jp/~ogochan/essay/archives/1301
例の「ミラクル・リナックスの吉岡さんプログラマに戻る」事件で引っかかっていた事が見事に説明されていて、胸がすっきりする思いでした。明るい話ではないので、「そうそう!」というのも何ですが、かなり腑に落ちました。
Oracleを簡単に使うためのLinuxとして生まれたMiracle Linuxですが、Red Hat社が本格的にOracle RACで稼ぐようになった頃には、その存在意義が失われ始めていたように思います。時代の流れ、といってしまえばそれまでですが、どうにかしてRed Hatにくっついて分け前を預かるような、そんな戦略は練れなかったのかな、という気がします。「ブランドと実績」のRed Hat、「安さとOracleサポート」のMiracleといった感じでアピールできなかったかな、と。
多分、Asianux戦略あたりが決定的な失敗だったんだろうと思います(こういう理念は個人的には嫌いじゃないんですけど)。初期のMiracleと違い、Red Hatの傍流でなくなったため、Oracleが動くマイナーなLinux、という印象を、システム屋さんに与えてしまう事になりました。同時に、マイナーなOSとなったために、サポートされるサーバが少ない、という問題もまた、生まれてしまう事となりました。
ですので、ビジネスでたらればの話をしてもしょうがないのですが、おそらくRed Hat Linux傍流路線をあのまま続けていれば良かったんだろうと思います。多分、何の面白みも無いディストリビューションとして扱われる事になっただろうとは思いますが・・・。
もしその路線が一定の成果を収めていれば、日本のオラクルが、Oracle Enterprise Linuxを提供/サポートするための会社としてミラクル・リナックスを位置づけるようになっていたかもしれない、と思うんです。なぜかというと、心理的に、データベースの会社のOSを入れる、という事にピンと来ないシステム担当者は、私を含めて少なくないからです。Oracleデータベースを入れる際に、DBはOracleから、Linuxをミラクルから、それぞれ調達するという流れなら、あるいは今よりOracle Enterprise Linuxも普及し、Oracle、ミラクルともにハッピーな結末になっていたのではないかな?と思うんです(政治的な事情などを無視した、外野からの無責任な発言になりますが)。
それにしても、驚いたのは、追いつめられたからとは言え、エンタープライズではなく組み込みを今後の主力とする、という大転換を行った、という事です。同じLinuxとはいえ、求められる技術は全くと言っていい程違います。そんな判断をせざるを得なかった程追いつめられていたとは。。。オープンソースといえども、ビジネスである以上、勝者は一握りであり、敗者は次の道を見つけなければならない、という事なんでしょうね・・・。