ツ、イ、ラ、ク (ISBN:4048734938)

人生で一番むき出しの、純粋な形で恋をするのは中学生、という話。ライトノベル的なアプローチではなく、青春文学的なアプローチでもなく、いわゆる一般文藝のアプローチで小中学生の恋愛を描いている。そうきたか、という感じ。
舞台となっている小学校、中学校の描写はとてもリアルで、「ああ、あるある」という記述もとても多い。青春小説じゃないか、というくらい日常生活の描写に比重が置かれている。だから、そんな中に忍び込むセックスが、とてもエロく、隠微なものとして見えてきたりもする。やられた、という感じ。
ラストについては、賛否両論があるみたいだけど、僕自身はどちらかというと否定派。本の帯には「忘れられなかった。どんなに忘れようとしても、ずっと。」とあるけど、人がそうそう長い間過去に執着し続けられるものだとは、思わないな。そうなのか、という感じ。
とはいえ、一気に最初から最後まで読んでしまったので、とても面白い本だったことは確か。姫野カオルコという人の本も、今回が初読だったんだけど、今度別の本も買ってみようかな。