優秀な中国人

NHKの深夜枠で放送されていた、NHK BSプライムタイム「新入社員アジアに求む」を見た。ソニーが、中国やインドの優秀な学生を採用するために大規模な採用試験を実施する、という話。
ソニーの人材に対する執念には、いつも舌を巻くばかりだけど、この放送では、それ以上に中国人の学生の貪欲さ、優秀さ、コミュニケーション能力に驚いてしまった。自分の学生時代と比べると、圧倒的な差があるとさえ、感じてしまう。もちろん、テレビで取り上げられたのは一握りの超エリートだから、その少ないサンプルをもって、全体を推し量るのは間違っていると思うんだけど、それにしても衝撃だ。
自分くらいの世代で、日中の技術者の水準を比較するならば、層の厚さも、平均水準も、中国がかなりリードしているんじゃないかと思う(技術分野にもよるとは思うが)。日本は、高等教育の体質が古いし、また、高等教育にカネを掛けない方向に進んでいる(独立行政法人化も始まった)から、この傾向は今後加速すると思う。もしかすると、10年後には技術に関する中国と日本の地位が逆転している、なんてことも起こってるかもしれない。

ツ、イ、ラ、ク (ISBN:4048734938)

人生で一番むき出しの、純粋な形で恋をするのは中学生、という話。ライトノベル的なアプローチではなく、青春文学的なアプローチでもなく、いわゆる一般文藝のアプローチで小中学生の恋愛を描いている。そうきたか、という感じ。
舞台となっている小学校、中学校の描写はとてもリアルで、「ああ、あるある」という記述もとても多い。青春小説じゃないか、というくらい日常生活の描写に比重が置かれている。だから、そんな中に忍び込むセックスが、とてもエロく、隠微なものとして見えてきたりもする。やられた、という感じ。
ラストについては、賛否両論があるみたいだけど、僕自身はどちらかというと否定派。本の帯には「忘れられなかった。どんなに忘れようとしても、ずっと。」とあるけど、人がそうそう長い間過去に執着し続けられるものだとは、思わないな。そうなのか、という感じ。
とはいえ、一気に最初から最後まで読んでしまったので、とても面白い本だったことは確か。姫野カオルコという人の本も、今回が初読だったんだけど、今度別の本も買ってみようかな。