大人になるということ

大人になる、という事は上手に妥協する方法を覚える事なんだ、と思う今日この頃。

モテる人は、基本的に妥協が上手だと思う。躊躇無くバカを装う事ができたり、何の臆面もなくデート用のマニュアル本に合わせる事ができたり、面白くもない人間関係であっても、上手に維持する事ができたりする。自分が好きでもない事であっても、モテるために、続ける事ができるのは、つまり「異性にモテるため」に上手に妥協ができている、という事。

逆に言うと、モテない人は、妥協が下手だということだ。異性から見て、とっつきにくいと思うほど趣味にのめり込んだり、高望みするあまり、自分に振り向かないような異性にばかりアプローチをしたりする。大雑把な表現になるけど、まだまだ子供、ということになるのかもしれない。

そもそも、恋愛を始める事ができたとして、その恋愛を続けるためには、たくさん相手に合わせる必要がある。

  • 例えば相手とデートするために、友達と遊ぶ時間を削らなくてはならなくなるかもしれない。
  • 例えば相手が束縛するために、誰かと外出するのもままならなくなるかもしれない。

結婚生活を続けるためには、もっとたくさん相手に合わせる必要が出てくる。

  • 例えば相手が遠くに引っ越すのに合わせて、自分が仕事を辞めなくてはならなくなるかもしれない。
  • 例えば子供を育てるために、すべての時間を子供のために使わなくてはならなくなるかもしれない。

異性とやっていくためには、始める上でも、続ける上でも、上手に妥協する事が不可欠で、たぶん僕たちは何度も失敗しながら、その解決をしていくしかないんだろう、と思う。そうして大人になっていくんだろう、と思う。実際は、それでも大人になりきれない自分に悩むんだろう、とも思う。

大人になりきれないまま歳を取ってしまった(ように見える)人に対して行うべきアドバイスは、多分、「お前は子供だ」と自分の意見をそのまま告げる事じゃない。身もふたもない意見だけを突きつけてしまえば、妥協が上手に出来ない相手はその意見を全面否定するか、あるいは逃避するしかなくなる。

大切なのは、「妥協すべきポイントがずれているよ」とそっと告げてあげる事じゃないだろうか。そうすれば、アドバイスされた側には、自分で着地点をチューニングする余地が生まれる。人は、自分で決めた事でないと、100%力を発揮する事はできないから、自分で着地点がチューニングできるようにする事はとても大切。

例えば、モテないオタクに対してアドバイスする際に、「お前みたいなオタクには、脱オタしないと未来は無いよ」といっても効果は薄いと思う。言われた側は、妥協点を見いだす事もできず、ただ、相手の言う厳しい現実を受け止めるか、拒絶するしか無くなるからだ。そもそも、そんなアドバイス自体が子供のアドバイス、といった方がよいのかもしれない。

それならば、「モテるオタクを目指したほうがいいよ」といった方が、まだ着地点は見つけられる。「話していて楽しめるオタクを目指すのはどうかな」とか、「オタクである事が強みになるような仕事を目指すのはどうかな」とか。

人によって、さまざまな着地点はあるだろうし、そこで見つけた着地点がゴールになるとは限らないけど、大切なのは、伝える側も、伝えられる側も、何に妥協できて、何に妥協できないかを、端折らずに、ちゃんと調整する事なんじゃないかと思う。場合によっては決裂する事もあるだろうけど、それを上手に受け流す事も大切だと思う。(それは言葉で言うほど単純じゃないし、時には決裂すると自分が困る場合もあるから厄介だけど)

読んでいて気づいた人も多いと思いますが、以上が一連の id:hashigotan 問題に対する私の考えでした。ここまで偉そうに書いてしまいましたが、私自身も相当妥協下手な子供なので、かなり自戒が入ってます。歳をとるのは簡単なんですが、大人になるのは難しい。つくづくそう思います。