【最終局面を迎えた電力線通信・実用化「再」論争の真実】(IT Pro)

第1回: http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/NCC/NEWS/20050819/166550/
第2回: http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/NCC/NEWS/20050822/166649/
第3回: http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/NCC/NEWS/20050823/166688/
第4回: http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/NCC/NEWS/20050824/166761/
第5回: http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/NCC/NEWS/20050825/166841/
電力線通信(PLC)って、ゴリ押しするほどの長所が見えにくい技術だと思う。考えられるところでは、「コンセントを差せば即インターネット!なので、情報家電の設定が楽になる」とか、「FTTHADSLが使えないような場所でも高速回線の恩恵にあずかれる」くらいかな。
もっとも家電の設定が楽になる、というのもおそらくは程度問題で、家庭内ネットワークを作るのが楽になる訳ではないと思う。ノウハウの蓄積が無いところからスタートする以上、今より面倒になる、ということだって十分にありうる。また、電力線は、既存のインターネットプロバイダとは違う回線なので、当然プロバイダに契約を変えるとか、別のプロバイダと契約するとかの雑務が必要になる。そこまでして、どうしてもPLCを使いたいって言う人が、どれだけいるのだろう。FTTHで数十Mbps〜100Mbpsといった、使い切れないほどの帯域を使う人が増え続けている現状で。
それより、PLCにより出てくる電波で、アマチュア無線やら自衛隊の無線やら警察無線やら電波天文やら、各方面に悪影響を及ぼしかねない、という問題のほうが根が深そう。「PLCの電波のお陰で、アマチュア無線の歴史は幕を下ろしました」「PLCの電波のお陰で、警察無線の機能が低下したことから、犯人を採り逃しました」なんて事になっても寝覚めが悪いと思うんだけど。この際、IT Proの書き込み(第4回)にあるように「総務省と座長のせいでPLCがダメだった」と撤退すべきなんじゃないかなあ。
SI屋としては、PLCのような、実現までの技術的障壁がいっぱいなところに、ビジネスの種は沢山あると思うので、本来賛成すべきなのだと思うけど、こんなことを書いてしまった。いや、でも、「来ない」と思う技術を持ち上げるのも、顧客(候補)が損をすることを考えると、あまりいいことではないし・・・。