非モテに厳しいエントリを見つけました。

(お知らせ : コメント欄にも記載がありますように、引用元に(本エントリの指摘の反映も含めた)修正が加えられているため、本エントリの指摘の一部は、現在有効ではありません。内容については、修正を行いませんが、その旨ご了承ください。)
ホットエントリを眺めていて、気になったエントリがあったのでご紹介。
http://d.hatena.ne.jp/p_shirokuma/20061126/p1
このエントリを読んで、一番引っかかったのは、以下の文章。

 昔、臨床心理士の先生に「女の子と付き合いたいなら、とりあえず服装とか身なりとかに気を配ってみたら?」と言われた時、彼はすごく怒って「もう二度と言わないでください!」と激怒したという。

これを字面通りに解釈するなら(この部分はフィクションかもしれないけど)、臨床心理士の責任は極めて大きいんじゃないでしょうか。人の話を聞く専門家が、(精神病という訳でもない)クライアントを激昂させてしまったら、そりゃアウトでしょう。まして、クライアントの内面を預る、一歩間違えば人生を左右しかね無い重大な現場で、この臨床心理士は、うかうかとコンプレックスを強く刺激する発言をしてしまった。これって、プロ失格じゃないでしょうか(実際、そういう臨床心理士が多いのかどうかは知りませんが)。少なくとも、この話が事実ならば、男性の性格がどう歪んでしまっても、しょうがなかったんじゃないかなあ、という気がします。男性がとても気の毒です。
「気の毒」という表現を書いていて思ったのですが、今回の引用元のエントリって、男性に対してものすごく冷徹な態度で突き放しているように思います。まったく同情する気がない、というか。「ダブルスタンダードを持つ(高齢の)非モテは、致命的欠陥を持つため、女性には絶対に相手にされない」という強いニュアンスが感じられます。

Xさん「彼って、自分が女の子にあれこれ要求してるって事に気付いてないし、女の子が望みそうな自分に近づいてあげようって気持ちも欠落してる。しかも、彼をみる女性はそのことに皆気付いている。でも、彼だけがその事に気付いていないってのが一番致命的よね」

でも、そもそも、女性に面と向かってこう言われて、「僕は違う」と否定できる男性はいるのでしょうか?非モテ以外の男性であっても。自分は女性の要求に答えているし、相手の理想に近づこうと努力している、と考えている男性がいたとして、「それはあなたの勘違い。気づいていないでしょ」と言われてしまえば終わりです。構造的に「僕は違う」と思い難い表現だと言えます(そう思っちゃう鈍い人も、いるかもしれませんが)。
それでも、仮にパートナーとか、(そこまで行かなくても)好きな人がいれば、「あの人の喜ぶように少しでも努力しよう」となるかもしれませんが、それ以前の、世界の誰にも愛される事を期待できない状態にある非モテの男性には、そんな出口はありません。この表現は、残酷過ぎる、と僕は感じます。
で、少し話は飛ぶのですが、同じようなテーマでかかれたWebの文章でも、最近読んだ酒井冬雪さんのエッセイ「理系のための恋愛論」では、もう少し表現が優しかったように思います(「人は見かけで判断する!?」とか「2人の"恋愛大前提"の違い」あたり)。書き手の性別の違いもあるかもしれませんが、受ける印象は大分違います。

そういわれてみると、気づかぬうちに彼女に甘えきっている自分がいたかも。彼女のために、何かしてあげたのはいつのこと? と思う自分がいたら、今からでも遅くはありません。彼女がヨロコブようなことをしてあげましょう。ただし、自分が好きなことは、彼女も好きだろうと勘違いしている男性もたくさんいますので、先に彼女にリサーチしてから、何かしてあげてほしいものです。

(この文章自体は恋人同士のお付き合いの話ですが)こう言われると、「あ、そっか。そういう事に気づいていなかったかも。次は反省しなくちゃ」という気持ちが生まれるように思うんです。もちろん、今回取り上げられたような男性の場合、コンプレックスもあるので、そう一筋縄ではいかないかもしれませんが、でも追い詰められるよりはずっとポジティブに考えられるし、結果として行動に結び付きやすくなる、と思うのです。(学校の勉強に例えるなら、「勉強しなきゃならないのに、勉強しないからお前は駄目なんだ」と言われるよりも、「勉強しているところを見せてくれないかな?」とかソフトに言われた方が、勉強しようという気になりませんか?)
さらに、もっと根本的な問題かもしれませんが、勉強もしないで頭良く見られたいとか、仕事に精力をかたむけもしないのにいい結果だけが欲しいとか、パソコンを使うための努力は面倒だけどアプリケーションの恩恵には預りたいとか、節制はしたくないけど健康でありたいとか、そもそも人間は信じられないくらいわがままなものです。恋愛だってそうでしょう。モテるだけの十分な資源を持ち合わせていないのに、モテたい、ちやほやされたい、と思う。そういうものじゃないんでしょうか。非モテが、「身分不相応」な事を考えているとして、どこまでも責められなくちゃならないものなんでしょうか。ただでさえ勝率が0割(もしくはそれに近い値)で、傷つくことのほうが多いのに、とも少し思います。